向日葵は彩る君に恋をした


「まずさ、大会までの三ヶ月間、花の提供をしてもらいたい」

「あ、はい」

「俺が言ったリストの花を用意して配達。それが仕事」

「は、はあ……。質問いいですか?」

「ああ」

「そもそも……有名な華道家ですから、祖父の小さな花屋じゃなくて、大手の花屋があるんじゃないんですか?」

だって父親はあの九条真斗。華道家としてもかなりすごい人物なはず。ツテなんていくらでもあると思っていた。
すると──九条さんは、深くため息をついた。
は、はあ……聞いてはいけなかった?地雷踏んだ?

「今回の大会で結果を残さないと、華道家としての道を諦めろと言われているんです」

しれっと黒井さんが言い放った。

「え?そうなんですか!?」

「はい。だから父親である真斗様のツテは使えないのです。
なので、花の提供はできないと断られたようです」

黒井さんは散らかったコップを片付けながら淡々と告げる。当の本人──九条伊織は、そっぽを向いたまま。

「いやいや、どうしてそんなことに……」

今日、間近で見た。あんなに美しくて、技術もあって、才能もあるのに。大会で結果を残せなかったら諦めろなんて……どうして父親はそんなことを言ったんだろう。すると、九条さんがぽつりと口を開いた。

「……お前には華道家として致命的に足りないところがあるって言われた。
それが俺にはわからない」

そう言って、ゆっくりこちらを見る。その目は、さっきまでの“睨み”とは違った。迷子みたいな、答えを探しているような、そんな目だった。