「だから、きっとあの言葉はかつての自分に向けた言葉でもあるんだよ。
私、弓弦くんのいける花も好きだよ」
「え?」
「大胆で、真っ直ぐで……
とりあえずさ、一旦伊織くんのこと忘れてみようよ。
自分の心のままに。
なんで華道家になりたいのか、もう一回考えてみたら?」
そう言うと、弓弦くんはむっとした顔でこちらを見た。
「……なんか、偉そうですね。
伊織くんに花褒められたからって」
……やっぱり可愛くない年下だ。
「ほら、歳上のアドバイスは聞くもんだぞ、少年」
「大して違わないんですけど」
「じゃあまたね」
軽く手を振って、公園を出たところで―伊織くんが立っていた。
「なんだ、来たんだ」
腕を組んで、むすっとした顔。
「浮気してないか確認」
「嫉妬深い彼氏だな」
「そうだよ。かなりね」
そう言って、自然に私の手を取る。指先が触れた瞬間、さっきまでの拗ねた顔が少しだけ緩んだ。



