向日葵は彩る君に恋をした

「葵の勉強のためとはいえ、なんかいい気しない」

伊織くんは、ほんの少し拗ねた声で言った。

「なんでー?もしかしてやきもち?可愛いね」

そう言って、タオルでわしゃわしゃと髪を拭いてあげる。

「そうだけど」

じとっとタオル越しに目が合う。次の瞬間、手をぐっと引かれて、そのままソファに倒れ込んだ。

「ちょっと」

「いやだー」

「お子様だなー」

思わず笑うと、伊織くんの腕にぎゅっと力が入る。

「余裕のある男が好き?」

不意にそんなことを言われて、目をぱちくりさせた。

「……私は伊織くんが好き」

そっと唇にキスを落とす。すると――

「うわあ、もうなんか葵が余裕あってずるいー!」

伊織くんは顔を手で覆って、ソファに沈み込んだ。可愛いやつだ。とりあえず二人で姿勢を整えて、座り直す。

「さっきの話なんだけど、どんな人?
薬師丸さんは、浅葱さんが伊織くんのことをライバル視してるって言ってたよ」

「うーん、大会は何回か一緒に出てると思うけど……
負けたことないしなー」

しれっと天才発言。

「ただ、年齢のわりに落ち着いてる気がする」

……あまり参考にならない。

「どんな花をいける人?」

「さあ」

「……」

まじであてにならない。まあいいや、とりあえず会ってみるしかないか。