向日葵は彩る君に恋をした

「とりあえず一度会ってみてくれるかな。
この日に、この花を用意して、この住所に行ってごらん」

そう言われて、花材のリストを受け取る。

「わかりました」

「先方には連絡しておくね」

薬師丸さんは軽く手を振った。

その夜。お風呂上がり、浅葱 弓弦について調べてみるが―まだ新星らしく、情報は驚くほど少ない。

「ねぇ、伊織くん。
浅葱 弓弦くんってどんな人?」

そう聞いた瞬間、髪をタオルで拭いていた伊織くんの手が、ぴたりと止まった。

「……まさか、浮気か」

真顔。本気で言っている。

「違うよ」

思わず笑ってしまう。

「薬師丸さんに、そろそろ違う華道家の花を提供してみないかって言われて……やってみることにしたの」

そう言って隣に座ると、伊織くんも同じタイミングで腰を下ろしてきて――距離が、ぴたっと近い。