向日葵は彩る君に恋をした

すると──バタンッ、と襖が勢いよく開いた。そちらを見ると額に汗を滲ませた彼がいた。

「い、伊織くん?」

「じじい、なにしてんだよ」

「誰がジジィだ、クソ息子」

……え?二人とも口悪い。薬師丸さんが苦笑し、真斗さんは肩をすくめる。

「伊織くん、元気そうだね」

「お世話になってます、薬師丸さん」

すっと頭を下げる。切り替えが早い。そして、すぐ私を見る。

「なんで葵を連れ出してんだよ」

「待って、伊織くん。私が頼んだの」

私はそっと彼の服の裾を掴む。

「私、この先も伊織くんのいける花を私が用意したい。
でもそのためには、技術も知識も足りない。
華道家の伊織くんと並んで歩いていくために、私はここに来たの」

そう言うと、伊織くんは目を丸くし──ぎゅっと私の手を握った。真斗さんが補足する。

「そういうことだ。
だから、ここにいる薬師丸さんについてもらう。
まだ高校生だからバイトとして手伝いながら、
高校卒業したら本格的に学んで仕事としてついてもらう──という話をしたんだ。
色んな華道家たちとも関わって、花を提供できるようになれば葵さんの力もつく」

すると伊織くんの顔が、はっきり歪む。

「なんで、色んな華道家に花提供すんだよ」

真斗さんがニヤッと笑う。

「なんだ……他のやつに取られるようで嫌なのか?
余裕のない男は嫌われるぞ」

「はあ?」

伊織くんがさらに不機嫌になる。眉が寄って、口がへの字になって、完全に怒ってる。でも─その横顔が、少しだけ可愛い。