向日葵は彩る君に恋をした

「あなたが処理する花はいつも丁寧でしたから、
花に向き合う姿勢を伊織が学んでくれたら、足りないものに気づけると思ったんですが……
まさかお孫さんに気付かされるとはね」

そう言って、真斗さんはまっすぐ私を見る。

「えっと……あの」

「伊織は葵さんのおかげで変われた。
先ほど少しお話を聞いてしまいましたが──
貴女は、この先どうしたいですか?」

真斗さんの瞳は、冗談の気配が一切ない。伊織くんと同じ、真っ直ぐな目。

「私は……」

言葉が喉でつまる。

「もし、さっきの気持ちが本心であるなら──これを君に」

差し出されたのは、一枚の名刺。白地に黒い文字で真斗さんの連絡先が書かれていた。

「君が本気で伊織と並ぶ覚悟があるのであれば、連絡してくれ」

その言葉は、静かだけど強かった。私はそっと名刺を受け取った。指先が少し震えていた。

「では、お大事に」

フルーツのバスケットを置き、真斗さんは颯爽と病室を後にした。扉が閉まる音がやけに静かに響く。名刺を見つめる私を、じぃちゃんがふっと笑った。

「葵……道は、目の前にあるみたいだな」

胸の奥がじんわり熱くなる。怖いけど、嬉しい。不安だけど、前に進みたい。名刺を握る手に、少しだけ力が入った。