向日葵は彩る君に恋をした

コンコン──扉を叩く音に、私は慌てて目元をぬぐった。

「失礼します。
倒れたって聞きまして、大丈夫ですか?」

入ってきた人物を見て、私は思わず目を丸くした。

「なんだ、真斗」

「もう歳なんですから、無理してはだめですよ」

真斗さんが、いつもの落ち着いた笑みを浮かべる。

「え? じぃちゃん、どういうこと?」

そこに立っていたのは──九条 真斗。伊織くんのお父さん。

「こんにちは、葵さん。
息子が世話になってるね」

「いえ、むしろこの前私を庇って怪我をさせてしまい……申し訳ありませんでした」

私は深く頭を下げた。

「あー、気にしなくていい。
左手の訓練になってちょうど良かっただろう」

真斗さんは軽く笑う。その余裕のある雰囲気は、伊織くんとどこか似ている。

「それより、お二人はどういう関係で……?」

私が尋ねると、真斗さんが口を開く。

「花の提供をしてもらってたんですよ」

「もう昔の話だろ」

じぃちゃんが肩をすくめそれからふっと目を細めた。

「わざと亀井さん使って、すずらんの花を使わせたんだろ。
相変わらず策士だな」

「……え?」

どういうこと?頭が追いつかない。