向日葵は彩る君に恋をした

「日向……お母さんから電話だ」

担任の先生が慌てたように顔を出す。

「え?」

「おじいさんが倒れたみたいだ。急いで病院に行きなさい」

「は、はい!」

頭が真っ白になった。じぃちゃんが倒れた──その言葉だけで、足が震える。慌ててタクシーを拾い、病院へ駆け込む。

「なんだ、そんな慌てて」

ベッドの上で、じぃちゃんがいつもの調子で笑っていた。

「じぃちゃん……よ、良かった……倒れたって聞いたから…」

その場にへたり込む。腰が抜けるって、こういうことなんだ。

「私も動揺しててね、ぎっくり腰だって。歳ねぇ」

母が苦笑しながらじぃちゃんを見る。

「花の手入れしてたら、ぐきっていってな。もう痛いのなんの。歳には敵わなんなー」

「……よ、よかった……ほんとに……」

涙が出そうになるのを必死にこらえる。

「とりあえず私は荷物取りに戻るから、葵。じぃちゃんのそばにいてあげて」

「わかった」

椅子に腰掛けると、じぃちゃんがふっと目を細めた。

「葵、そんな顔すんな。わしはまだまだ死なんよ」

その声が、胸の奥にじんわり染みた。