向日葵は彩る君に恋をした

「それでは、最後は急遽参加を決めていただいた九条 伊織様による生花になります。
彼は日本華道芸術花誉展で審査員特別賞を受賞しました。
それでは、どうぞご覧ください」

アナウンスが響いた瞬間、周囲がざわりと揺れた。好奇の視線が一斉にステージへ向く。大丈夫かな……右手、本当に平気なのかな。
伊織くんは静かに一礼し、左手でケイトウを取った。
右手は添えるだけ。それなのに──動きが美しい。怪我を感じさせない。まるで最初から左手だけでいける人みたい。
ケイトウの赤が、彼の集中と静けさを際立たせる。
スッ、スッ──迷いのない所作。呼吸と花がぴたりと合っている。
生け終わると、伊織くんはすっと頭を下げた。

「素晴らしい」

「さすがですね」

拍手が一気に広がる。その音が、胸にじんと響いた。ほんとにすごい。怪我をものともせず、堂々と立つ姿。ケイトウの力強さが、まるで彼自身の強さを映しているみたいだった。