「ってか心配しすぎ。
左手で箸も使えるようになったから大丈夫」
「え? いつの間に」
「これで両利きになった。無敵だな」
「……それなら私、ご飯食べさせなくてもよかったよね?」
思わず反論してしまう。
「それは、それ。
こういう時に可愛い彼女に甘えるのが役得ってやつでしょ?」
……ずるい。そんなふうに言われたら、胸がきゅっとなる。
「……好きだよ」
ちゅっと首に触れるような軽いキス。甘い。甘すぎる。
「いや、あの……そろそろ包帯を」
「それもそっか」
ようやく腕の中から抜けて、包帯を替える。右手首はまだ少し赤くて、見るだけで胸が痛む。大丈夫だといいけど……もし生花に支障が出たら、取り返しがつかない。私が金木犀の香りにつられて、すみれを避けて、足を取られて──。思わずぎゅっと唇を噛む。
「葵」
「なに?」
「唇」
「あ、噛んでた?」
「キスするぞ、噛むなら」
「うえ!?」
スッと左手が頬に添えられる。そのまま来る──と思った瞬間、伊織くんのスマホが鳴った。
「悪い、キスはお預けだな」
ニヤリと笑って立ち上がる。もう……ほんと調子狂う。かっこよすぎる。でも、右手……本当に大丈夫かな。問題なければいいけど。ほんと、何やってるんだろ。足引っ張ってるじゃん、私。胸の奥がぎゅっと痛んだ。
左手で箸も使えるようになったから大丈夫」
「え? いつの間に」
「これで両利きになった。無敵だな」
「……それなら私、ご飯食べさせなくてもよかったよね?」
思わず反論してしまう。
「それは、それ。
こういう時に可愛い彼女に甘えるのが役得ってやつでしょ?」
……ずるい。そんなふうに言われたら、胸がきゅっとなる。
「……好きだよ」
ちゅっと首に触れるような軽いキス。甘い。甘すぎる。
「いや、あの……そろそろ包帯を」
「それもそっか」
ようやく腕の中から抜けて、包帯を替える。右手首はまだ少し赤くて、見るだけで胸が痛む。大丈夫だといいけど……もし生花に支障が出たら、取り返しがつかない。私が金木犀の香りにつられて、すみれを避けて、足を取られて──。思わずぎゅっと唇を噛む。
「葵」
「なに?」
「唇」
「あ、噛んでた?」
「キスするぞ、噛むなら」
「うえ!?」
スッと左手が頬に添えられる。そのまま来る──と思った瞬間、伊織くんのスマホが鳴った。
「悪い、キスはお預けだな」
ニヤリと笑って立ち上がる。もう……ほんと調子狂う。かっこよすぎる。でも、右手……本当に大丈夫かな。問題なければいいけど。ほんと、何やってるんだろ。足引っ張ってるじゃん、私。胸の奥がぎゅっと痛んだ。



