「葵、食べさせて」
「はい!」
それから私は伊織くんの世話を始めた。ご飯を食べさせたり、飲み物を渡したり。
「葵、膝枕して」
「はい!」
ソファにごろんと横になり、私の膝に頭を乗せる。……まって。なにこれ。距離感どうした。
「ねぇ、これ怪我と関係ある?」
そう言うと、
「あるある。なんか早く治りそう」
すっと目を閉じる。サラサラの茶色の髪が膝の上で揺れる。きれい。……って、そうじゃない。
「葵……頭洗うの手伝って」
「はい!」
そう言って脱衣所へ向かった瞬間──
「うお! 裸!!」
思わず両手で目を覆う。
「いや、下ズボン履いてるから」
そう言うけれど、指の隙間からちらりと見えたのはしっかりした腹筋。細身に見えるのに、ちゃんと鍛えられている。
……いや、見ちゃだめ。でも、見える。いや、見ちゃだめ。心臓が忙しい。



