それから。
私はもう一度、桜を見上げて言った。
「付き合った日も、ここでこうやって桜見たね。」
「うん。」
「りのんと隣にいられる時が来るなんて思ってなかった。」
「私も。」
「恋人になって。」
「うん。」
「高校三年生になって。」
「うん。」
私は少しだけ笑った。
「なんか、不思議。」
「何が?」
「出会った頃の私たちが、今の私たちを見たらどう思うんだろうって。」
湊くんは少し考える。
「たぶん、驚くんじゃない?」
「ふふっ。」
「でも。」
「ん?」
「俺は、今のほうが好き。」
「……今の?」
「うん。」
湊くんが私を見る。
「出会った時より、りのんのことを知ってるから。」
胸の奥が、じんわりあたたかくなる。
「私も。」
「うん?」
「その時より、湊くんのこと知ってる。」
「そっか。」
「知らなかったこと、いっぱい知ったよ。」

