「……」 箸を持ったまま、手が止まる。 最後に母さんと食卓を囲んだのは、いつだったっけ。 思い出そうとしても、すぐには出てこない。 そのことに気づいた瞬間、胸の奥が少しだけざわついた。 「湊くん?」 「……あ、ごめん」 「どうしたの?」 「ううん。なんでもない」 笑ってみせる。 けれど。 さっきまで温かかった食卓が、ほんの少しだけ遠く感じた。