転生令嬢は謎の騎士に溺愛されています!?~地味スキルと言われましたが【待機】と【接続】で料理も魔法も思いのまま? 辺境から幸せになります!~

 ★

 懐かしい鐘の音を鳴らしてギルドに入ると、むせ返るような熱気と冒険者たちの喧騒が私たちを包み込んだ。
 私たちは目立たないようにギルドの掲示板へ向かい、一枚の依頼書を引っぺがした。
 受付嬢さんは無口そうな若い女の子で、依頼書と私たちの冒険者カードを確認すると、小さく頷いた。

『依頼:森の街道沿いにある、壊れた道標の修理』

 討伐でもなく、魔法の知識も一切必要ない、純粋な物理作業。
 早速、私たちは森の街道へ向かい、真っ二つに割れて地面に転がっていた木製の道標を見つけた。

「よし、私の出番ですね」

 私は腕まくりをして、割れた木の断面同士をピッタリと合わせる。

「――【接続】!」

 シュンッ、という音と共に、木目は完全に繋がり、道標はあっという間に元通りの姿になった。
 相変わらず、魔法の陣も魔力操作もわからない私にとって、この「物理的にくっつけるだけ」のスキルは本当に便利でコスパが良い。

「……ギイィィィッ!」

 その時、茂みの奥から、初心者冒険者の天敵である巨大な、ねじれ角ウサギが飛び出してきた。

「あ、魔物――」

「妻との新婚旅行の邪魔をするな。塵になれ」

 私が言い終わるより早く、レオンさんが指先を軽く弾いた。
 ピキィィィンッ!という甲高い音と共に、巨大な角ウサギは一瞬で美しい氷の彫刻へと変わり、次の瞬間にはキラキラと風に舞う氷の粉となって消滅した。

 ……うん。
 圧倒的すぎる武力のおかげで、私の冒険者ライフはスリルゼロで安全そのものである。

「よし、これでクエスト完了ですね!」