私たちはお忍びの平民の服に着替え、新婚旅行(ハネムーン)として、思い出の辺境の街ルシェルシェを訪れていた。
「やっぱり、ここの空気は落ち着くなぁ」
深い森と澄んだ空気に包まれた街並みを見渡して、私は大きく深呼吸をした。
王都での華やかな生活も悪くないけれど、私にはやっぱり、こういう素朴で静かな場所が性に合っている。
「ユフィ、足元に気をつけろ。石畳が少し凹んでいる」
「ふふっ、もう。レオンさんは相変わらず過保護ですね。これでも私、この街で受付嬢もしてましたし、一人で生計を立てていたんですよ?」
私の腰にしっかりと腕を回し、まるでガラス細工を扱うようにエスコートしてくれる旦那様を見上げて、私はクスリと笑った。
氷の狂犬と恐れられる彼だけれど、私に向ける翡翠の瞳はいつだって蕩けるほどに甘くて優しい。
「それで、ユフィ。今日はどこへ行く? 君が望むなら、この街の全ての店を貸し切りにしてもいいが」
「そんなことしたらお忍びの意味がありません! ……実は、せっかくルシェルシェに来たので、久しぶりに冒険者ギルドに行きたいな、と」
「ギルドだと? あんな血の気の多い荒くれ者が集まる場所に、俺の美しい花嫁を連れて行くなど……」
「新婚旅行の記念に、二人で初心者向けのクエストを受注してみたいんです! ほら、私たちが出会ったのも、ギルドだったじゃないですか」
私が両手で彼の手を握りしめて上目遣いでおねだりすると、レオンさんは数秒で「……わかった。ただし、俺から一歩も離れないこと」と陥落した。
本当にこの王子様は私に甘すぎる。
「やっぱり、ここの空気は落ち着くなぁ」
深い森と澄んだ空気に包まれた街並みを見渡して、私は大きく深呼吸をした。
王都での華やかな生活も悪くないけれど、私にはやっぱり、こういう素朴で静かな場所が性に合っている。
「ユフィ、足元に気をつけろ。石畳が少し凹んでいる」
「ふふっ、もう。レオンさんは相変わらず過保護ですね。これでも私、この街で受付嬢もしてましたし、一人で生計を立てていたんですよ?」
私の腰にしっかりと腕を回し、まるでガラス細工を扱うようにエスコートしてくれる旦那様を見上げて、私はクスリと笑った。
氷の狂犬と恐れられる彼だけれど、私に向ける翡翠の瞳はいつだって蕩けるほどに甘くて優しい。
「それで、ユフィ。今日はどこへ行く? 君が望むなら、この街の全ての店を貸し切りにしてもいいが」
「そんなことしたらお忍びの意味がありません! ……実は、せっかくルシェルシェに来たので、久しぶりに冒険者ギルドに行きたいな、と」
「ギルドだと? あんな血の気の多い荒くれ者が集まる場所に、俺の美しい花嫁を連れて行くなど……」
「新婚旅行の記念に、二人で初心者向けのクエストを受注してみたいんです! ほら、私たちが出会ったのも、ギルドだったじゃないですか」
私が両手で彼の手を握りしめて上目遣いでおねだりすると、レオンさんは数秒で「……わかった。ただし、俺から一歩も離れないこと」と陥落した。
本当にこの王子様は私に甘すぎる。


