転生令嬢は謎の騎士に溺愛されています!?~地味スキルと言われましたが【待機】と【接続】で料理も魔法も思いのまま? 辺境から幸せになります!~

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 チュン、チュン……。

 窓の外から聞こえる、楽しげな小鳥の声。
 カーテンの隙間から差し込む朝の光に、私はゆっくりとまぶたを開けた。

「……んっ……」

 身動きを取ろうとして、全身が信じられないほど重くて、腰のあたりに鈍い痛みがあることに気づく。
 そして何より、息苦しい。
 見れば、私の体はレオンさんの分厚い胸板の中にすっぽりと閉じ込められ、まるで宝物を絶対に手放さないドラゴンのように、ガッチリと抱きしめられていた。

「おはよう、俺の可愛い妻」

 頭上から降ってきた声に見上げると、すでに起きていたらしいレオンさんとバッチリ目が合った。
 氷の狂犬などという二つ名が嘘のように、その表情は蕩けきっている。

「お、おはようございます……。レオンさん、あの、ちょっと苦しいんですけど」

「ダメだ。お前が可愛すぎて、一秒たりとも離したくない。……それにしても、昨夜のお前は本当に最高だった。あんな声で俺の名前を……」

「わぁぁっ! 言わないで! 意地悪!!」

 昨夜の怒涛の出来事を思い出し、私は真っ赤になって彼の胸に顔を埋めた。
 前世のブラック企業での過酷な徹夜よりも、彼の手際が良すぎる『夜の相手』をする方が、よっぽど体力を持っていかれる気がする。

「……体は痛くないか? 少し無理をさせたかもしれない。辛いならすぐに宮廷医を呼ぶが」

 本気で心配そうな顔をして提案してくる過保護な旦那様に、私は慌てて首を横に振った。

「よ、呼ばないでください! 初夜の翌朝に宮廷医なんて呼ばれたら、恥ずかしくて死んじゃいます!」

「そうか? お前を癒やすためなら、俺はどんな手でも尽くすぞ」

「いいですから! こんなの、病気じゃないんですから!」

 朝からツッコミを入れながらも、彼の体温に包まれているこの場所が、とてつもなく安心できるのは事実だった。

「……ねえ、レオンさん」

「ん?」

「新婚旅行で……ルシェルシェに行くの、楽しみです」

 私が彼の胸元にすり寄るようにして微笑むと、レオンさんは「あぁ」と優しく息を吐き、私の額に愛情深いキスを落とした。

「俺もだ。二人きりで、最高のハネムーンにしよう」

 王宮の静かな朝。
 ここから、辺境の街へのお忍び旅行と、賑やかなギルドの仲間たちとの再会が待っている。

 私とレオンさんの幸せな未来は、まだ始まったばかり。