転生令嬢は謎の騎士に溺愛されています!?~地味スキルと言われましたが【待機】と【接続】で料理も魔法も思いのまま? 辺境から幸せになります!~

 港町ルナポルトでの出張ミッションを大成功させ、臨時ボーナスを手にして王都へ帰還した私を待っていたのは――。

 アルヴェリア王宮の最も格式高い、円卓の会議室だった。
 なんで、いきなり、呼び出されてるの……。

「ルナポルトの魔力灯台を、ものの数分で修復した魔法使いがいるそうだな。しかも、複雑な魔力構築の一切を行わずに」

 円卓の上座近くで、白髭を蓄えた鋭い眼光の老人が、響くような低い声で言い放った。
 彼こそが、この国の内政を牛耳る宰相閣下。
 そして、レオンさんの実の祖父にあたる人物だ。

 円卓の周囲には、宰相派の貴族たちがズラリと並び、私を値踏みするように睨みつけている。

「古の建国神話に語られる『転生乙女』よ……。その奇跡の力を宿す娘が、我が孫の庇護下にいるというではないか。そのような国家の重要機密を、いくら王太子といえど、私物とするのは許されん。直ちに私の管理下へ置き、国の軍事と魔導研究のために尽くさせるべきだ」

 大義名分を掲げて私を連れ去ろうとする宰相の言葉に、私は縮こまりつつも、頭の中にははてなでいっぱいになる。

 軍事?
 魔導研究?

 そんな複雑な魔法の知識なんて私は一切持っていないから、脳みそ降っても何のアイディアも出てこないと思う。
 何より、せっかく手に入れた定時退社のホワイト労働環境を奪われるのだけは、絶対に絶対に絶対に!御免だ。

 隣に立つレオンさんが、ピキッと空気を凍らせて剣の柄に手をかける。

「……老いぼれが。ユフィに指一本でも触れてみろ、その首と胴体を永遠に切り離してやる」

「レオンさん、ここは会議室です。物理攻撃は駄目! 色々壊れて後で直すのが大変ですよ」

 私が慌てて狂犬のマントを引っ張って、こそこそ話していると。
 向かい側に座っていたセーリナ様が、優雅に扇を広げ、ふふっと冷ややかな笑い声を漏らした。

「お父様。貴方は昔から、都合の良いおとぎ話ばかりを信じる癖がおありですね。()()()()だなんて、どこにそんな証拠があるのです?」

「証拠ならある! この娘は魔法陣も描かず、魔力石の調整もせずに、巨大な魔力灯台を――」

「ええ、でも、彼女の説明によると『物理的に部品を繋ぎ合わせただけ』です。魔法の専門知識など皆無。そうでしょう、ユフィ?」

 セーリナ様からパスを受け取った私は、大きく頷いた。

「もちろんです。私はただの派遣型修復師なので、魔導研究なんて高度なことは一切できませんし、定時以降の業務はお断りしております。王太子様と契約した勤務期間にも、しっかりと定めがあるんですよ?」

「……っ、ふざけるな! そのような言い逃れが通用すると――」