転生令嬢は謎の騎士に溺愛されています!?~地味スキルと言われましたが【待機】と【接続】で料理も魔法も思いのまま? 辺境から幸せになります!~

 港の人々に案内された登山道というより、ほとんど獣道!!
 を、私たちは進んでいく。

 先頭を歩くレオンさんは、私が転ばないようにと常に手を引いてくれて、歩きやすいように前方の邪魔な木の枝を剣で丁寧に切り払いながら進んでくれた。

「ほら、ユフィ。段差があるぞ、気をつけて足を下ろせ。少し休むか? 水は飲むか?」

「まだ登り始めて十分しか経ってませんよ……!」

 王宮の外に出たことでタガが外れたのか、レオンさんの過保護っぷりはとどまることを知らない。
 ポケットの中のシロも「きゅっ」と応援するように鳴いている。

(ただのお仕事のつもりが、なんだかすごい大冒険になってきちゃったな……)

 息を切らしながらも、レオンさんに手を引かれて登る山道は、不思議と辛くはなかった。
 木々の隙間から見下ろす青い海は絶景で、振り返ればいつでも、私を気遣う翡翠の瞳が優しく見守ってくれている。

 険しい獣道を登ること数時間。
 私たちはついに、岩山の頂上付近にある巨大な『輝煌鳥(きこうちょう)』の巣へと辿り着いた。

「あれです、レオンさん! 巣の中心に、灯台の反射鏡の破片があります!」

 大木の枝と泥で組まれたすり鉢状の巣の中には、カラスのように黒く巨大な魔鳥が数羽、目を光らせていた。
 その足元でキラキラと光っているのは、間違いなくルナポルトの灯台の欠片だ。

「キシャアアアアッ!!」

 自分たちのコレクション(お宝)を狙う外敵の侵入に気づいたのか、魔鳥たちが一斉に翼を広げて威嚇の声を上げた。
 鋭い嘴と、刃物のような爪。まともに喰らえば、人間の骨など簡単に砕かれてしまいそうだ。

「ユフィ、俺の背後から離れるな。一瞬で終わらせる」

 レオンさんがスッと腰の剣を抜き放ち、地を這うような冷気を纏う。
 私は彼の戦いの邪魔にならないよう、「はいっ」と返事をして大きく後ろへ下がった。

 その時だった。

 ――ガラッ。

「え?」

 私が足を踏み出した瞬間。
 もろくなっていた崖の端の岩肌が、私の体重に耐えきれずにあっさりと崩落した。
 足元の地面がふっと消え、体がふわりと宙に浮く。

「……あ」

「ユフィッ!!?」

 レオンさんの悲痛な叫び声が響いたのを最後に、私は岩山の頂上から、ぱっくりと口を開けた崖下の亀裂へと真っ逆さまに落ちていった。