転生令嬢は謎の騎士に溺愛されています!?~地味スキルと言われましたが【待機】と【接続】で料理も魔法も思いのまま? 辺境から幸せになります!~

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「うふふ、そろそろ新入りが泣きながら這いつくばっている頃かしらねえ」

 数時間後。
 女官長が様子を見に大広間へとやってきた。
 しかし、彼女の目に飛び込んできたのは。

 チリ一つなく磨き上げられた窓。
 一本の雑草もない完璧な庭。
 そして、年代別に美しくファイリングされ、インデックスまでつけられた完璧な備品台帳。

 その横で、私が優雅に持参した水筒の紅茶を飲んでくつろいでいた。

「お、お、終わってる!?」

「あっ、女官長さん。お疲れ様です。指示された業務、全て完了しました。定時までまだ時間がありますが、追加の業務はありますか?」

「ば、馬鹿な!? あれは熟練の女官十人がかりでも丸三日はかかる量ですよ!? それをたった数時間で……お前、一体何者!?」

 女官長が腰を抜かしてへたり込む。
 周囲の先輩女官たちも「すごい……」「あの子、神様か何か!?」と拝むように私を見ていた。

(ふふん。伊達に前世で過労死するまで働いてないし)

 私は胸を張り、心の中でガッツポーズを決めた。

「あの、定時上がりなら、夕方以降はお城の中を散策してもいいんですよね? 実は私、人を探してまして」

 私が尋ねると、女官長はガチガチと震えながら「す、好きにおし……」と白旗を揚げたのだった。

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 一方その頃。第一王子の宮にて。

「どういうことだ! 私が紹介状を書いたお嬢さんが、こちらの宮ではなく、あの『第二王妃』の宮に配属されただと!?」

 第一王子は、報告を受けて頭を抱えていた。

「あそこは誰もが逃げ出す王宮随一の魔境……あんな素直で愛らしい子が放り込まれたら、一日で心が壊れてしまう……」

 お忍びの夜会で出会った少女の身を案じ、第一王子が青ざめている頃。

「……ユフィが、見つからないだと?」

 国境付近の森で、第二王子レオンティウスは、周囲の木々を完全な氷の彫刻へと変えながら、絶望と狂気に満ちた声を漏らしていた。

「ならば俺が、この国境の森をすべて更地にしてでも見つけ出す……!!」

 愛するユフィが、あろうことか『自分が一番嫌悪している母親(毒婦)の宮』を、超絶ホワイト企業扱いしてルンルン気分で無双しているなどとは夢にも思わずに。
 レオンティウスの巻き起こす吹雪は、さらに激しさを増していくのだった。