転生令嬢は謎の騎士に溺愛されています!?~地味スキルと言われましたが【待機】と【接続】で料理も魔法も思いのまま? 辺境から幸せになります!~

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「アナタが新入りの女官? 私はこの宮の女官長です」

 第二王妃宮の裏手にある控室。
 そこにいたのは、いかにも意地悪そうな吊り目をした、恰幅の良い女官長だった。
 周囲の先輩女官たちも、新入りの私を見て「また生贄が来たわ」「可哀想に、明日の朝には泣いて逃げ出すわよ」とヒソヒソ同情している。

「よろしいですか! ここは美しく気高き第二王妃様の宮です! チリ一つ、ミス一つ許されない戦場なのです! まずは手始めに、大広間の窓ガラス百枚の拭き掃除! 次に庭の草むしり! それが終わったら、倉庫にある過去十年分の備品台帳の整理! 全部、今日の夕方までに終わらせてようやく本採用となります!」

 バンッ!と目の前に積まれたのは、山のような雑巾と、崩れそうなほど高く積まれた書類の束だった。

「終わるまで、水一滴飲むことは許されません! さあ、さっさと働きなさい!」

 女官長が高笑いとともに立ち去っていく。
 周囲の女官たちが「あんな量、絶対に無理よ」「ひどすぎる……」と顔を覆う中。

 私は、目の前の仕事の山を見つめて――パァァッと顔を輝かせていた。

(えっ!? これって、夕方までに終わらせれば帰っていいの!?)

 前世のブラック企業時代。
 私の仕事は『終わりの見えないクレーム対応』と『上司の尻拭い』だった。
 深夜残業当たり前。
 理不尽に怒鳴られ、土下座をし、それでも仕事は無限に降ってきた。
 それに比べたら。

(窓拭きと草むしりって、ゴールが明確だし。しかも備品台帳の整理なんて、エクセルのマクロ組むよりずっと簡単。なんてホワイトな職場なの!)

 前世の社畜根性が、嬉しさで打ち震えていた。
 しかも今の私には、魔女の修行で鍛え上げた魔法グッズとスキルがあるのだ!

「よし、早速取り掛かろうっと! えーと、窓ガラスの汚れと、このバケツの中の水を――【接続(コネクト)】出来る気がする!」

 私が指を鳴らすと、窓ガラス百枚にこびりついていた汚れが、一瞬にしてバケツの水の中へと移動した。
 シュンッ!という音と共に、大広間の窓ガラスが新品のようにピカピカに輝き出す。
 所要時間、わずか。

「次は草むしりね! 雑草の根っこと、そこのゴミ捨て場を【接続】とかいける?」

 ポンッ!
 パラパラパラ……。
 庭中の雑草が自動的に引っこ抜け、ゴミ捨て場へと瞬間移動していく。
 所要時間、一分。

「さて、最後は台帳整理ね。年代順に並べ替えて……これは手作業だけど、前世の事務処理スピードを見せてあげる」

 私はちまちま黙々と書類を仕分け、瞬く間に整理された書棚を作り上げていった。