道中、何度か野盗や魔物に遭遇したものの、シロの『絶対隠蔽結界』と私の【待機】スキルによる究極のエコ戦法のおかげで、私たちは予定通り、無傷かつ低コストでアルヴェリア王国の王都に到着した。
「素晴らしい! 君のおかげで過去最高の利益率を叩き出せそうだ! さて、私はこれから貴族の夜会に潜入し、最高級シルクの売り込みをしてくるよ!」
「頑張ってくださいね、ジュリアンさん。私はお城に行く方法を探しますので」
私が手を振ろうとすると、ジュリアンさんは美しい顔でニヤリと笑った。
「おや、君も来るんだよ? もちろん、護衛兼パートナーとしてね。夜会に一人で参加するのは不格好だし、何より現地で同伴者を雇う経費が削減できるからね」
さすが銭ゲバ商人、一切の無駄がない。
私は魔女のココちゃんが餞別にくれた、暗器やアイテム用隠しポケット多数の『フリル増し増しドレスローブ』を身に纏い、ジュリアンさんと共に夜会の会場である貴族の館へと向かった。
★
本日の夜会は、顔を隠して参加する『仮面舞踏会』だった。
会場に到着するなり、ジュリアンさんは「では、新規顧客を開拓してくる!」とシルクのサンプルを抱えて嵐のように去っていく。
ポツンと残された私は、とりあえず会場の隅にあるビュッフェコーナーへと陣取った。
(タダで美味しいものが食べ放題……! これなら明日の朝食代も浮くわね!)
レオンさんが以前私を雇ってくれたおかげで、そんなにケチらなくても、普通に生活する事はできるけれど、この世界で女一人で独立して生きていくことを考えると、やっぱり節約しておかないといけない。
この先どうなるか、わからないし。
私は目立たないように仮面の位置を直しつつも、ここぞとばかりローストビーフをお皿に盛って、無心で頬張っていた。
すると、ふわりと隣に気配がした。
「美味しそうに食べるね」
「へ?」
声をかけてきたのは、狼を模した銀色の仮面をつけた長身の青年だった。
ジュリアンさんのようなキラキラした美男子でも、レオンさんのような冷酷な死神オーラでもない。
どこかレオンさんに雰囲気が似ている気もするが、もっと穏やかで、親戚の優しいお兄ちゃんといった朴訥とした空気を纏っている。
「ごめんね、驚かせて。僕も、こういう華やかな場は少し苦手でさ。つい壁際に逃げてきてしまったんだ」
青年はそう言って、優しく微笑んだ。
仮面でもちろん顔は見えないけれど、雰囲気的にたぶんイケメンなのに全然気取っていなくて、なんだかとても話しやすい。
「あ、私本当はゲストじゃないんです。主が、離席しておりまして。一応、護衛なんですけれど、ルールで仮面被らなくちゃいけないみたいで」
「護衛のお仕事かい? 君みたいな可愛らしいお嬢さんが一人でいるなんて、随分と放任主義な雇い主だね」
「あはは、経費削減がモットーの方なので。でも、私も『会いたい人』がいたので、丁度良かったんです。自由に動けますし」
「へえ、会いたい人。……それは、この夜会に参加しているの?」
親身になって聞いてくれる青年に、私は曖昧に頷いた。
「この夜会に参加しているかはわかりません……でも、こういった場所にはお仕事で?顔を出したりするかもしれないので……」
「とすると、王都の貴族なのかな」
「えっとー」
「素晴らしい! 君のおかげで過去最高の利益率を叩き出せそうだ! さて、私はこれから貴族の夜会に潜入し、最高級シルクの売り込みをしてくるよ!」
「頑張ってくださいね、ジュリアンさん。私はお城に行く方法を探しますので」
私が手を振ろうとすると、ジュリアンさんは美しい顔でニヤリと笑った。
「おや、君も来るんだよ? もちろん、護衛兼パートナーとしてね。夜会に一人で参加するのは不格好だし、何より現地で同伴者を雇う経費が削減できるからね」
さすが銭ゲバ商人、一切の無駄がない。
私は魔女のココちゃんが餞別にくれた、暗器やアイテム用隠しポケット多数の『フリル増し増しドレスローブ』を身に纏い、ジュリアンさんと共に夜会の会場である貴族の館へと向かった。
★
本日の夜会は、顔を隠して参加する『仮面舞踏会』だった。
会場に到着するなり、ジュリアンさんは「では、新規顧客を開拓してくる!」とシルクのサンプルを抱えて嵐のように去っていく。
ポツンと残された私は、とりあえず会場の隅にあるビュッフェコーナーへと陣取った。
(タダで美味しいものが食べ放題……! これなら明日の朝食代も浮くわね!)
レオンさんが以前私を雇ってくれたおかげで、そんなにケチらなくても、普通に生活する事はできるけれど、この世界で女一人で独立して生きていくことを考えると、やっぱり節約しておかないといけない。
この先どうなるか、わからないし。
私は目立たないように仮面の位置を直しつつも、ここぞとばかりローストビーフをお皿に盛って、無心で頬張っていた。
すると、ふわりと隣に気配がした。
「美味しそうに食べるね」
「へ?」
声をかけてきたのは、狼を模した銀色の仮面をつけた長身の青年だった。
ジュリアンさんのようなキラキラした美男子でも、レオンさんのような冷酷な死神オーラでもない。
どこかレオンさんに雰囲気が似ている気もするが、もっと穏やかで、親戚の優しいお兄ちゃんといった朴訥とした空気を纏っている。
「ごめんね、驚かせて。僕も、こういう華やかな場は少し苦手でさ。つい壁際に逃げてきてしまったんだ」
青年はそう言って、優しく微笑んだ。
仮面でもちろん顔は見えないけれど、雰囲気的にたぶんイケメンなのに全然気取っていなくて、なんだかとても話しやすい。
「あ、私本当はゲストじゃないんです。主が、離席しておりまして。一応、護衛なんですけれど、ルールで仮面被らなくちゃいけないみたいで」
「護衛のお仕事かい? 君みたいな可愛らしいお嬢さんが一人でいるなんて、随分と放任主義な雇い主だね」
「あはは、経費削減がモットーの方なので。でも、私も『会いたい人』がいたので、丁度良かったんです。自由に動けますし」
「へえ、会いたい人。……それは、この夜会に参加しているの?」
親身になって聞いてくれる青年に、私は曖昧に頷いた。
「この夜会に参加しているかはわかりません……でも、こういった場所にはお仕事で?顔を出したりするかもしれないので……」
「とすると、王都の貴族なのかな」
「えっとー」


