転生令嬢は謎の騎士に溺愛されています!?~地味スキルと言われましたが【待機】と【接続】で料理も魔法も思いのまま? 辺境から幸せになります!~

 道中、何度か野盗や魔物に遭遇したものの、シロの『絶対隠蔽結界』と私の【待機】スキルによる究極のエコ戦法のおかげで、私たちは予定通り、無傷かつ低コストでアルヴェリア王国の王都に到着した。

「素晴らしい! 君のおかげで過去最高の利益率を叩き出せそうだ! さて、私はこれから貴族の夜会に潜入し、最高級シルクの売り込みをしてくるよ!」

「頑張ってくださいね、ジュリアンさん。私はお城に行く方法を探しますので」

 私が手を振ろうとすると、ジュリアンさんは美しい顔でニヤリと笑った。

「おや、君も来るんだよ? もちろん、護衛兼パートナーとしてね。夜会に一人で参加するのは不格好だし、何より現地で同伴者を雇う経費が削減できるからね」

 さすが銭ゲバ商人、一切の無駄がない。
 私は魔女のココちゃんが餞別にくれた、暗器やアイテム用隠しポケット多数の『フリル増し増しドレスローブ』を身に纏い、ジュリアンさんと共に夜会の会場である貴族の館へと向かった。

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 本日の夜会は、顔を隠して参加する『仮面舞踏会』だった。
 会場に到着するなり、ジュリアンさんは「では、新規顧客を開拓してくる!」とシルクのサンプルを抱えて嵐のように去っていく。
 ポツンと残された私は、とりあえず会場の隅にあるビュッフェコーナーへと陣取った。

(タダで美味しいものが食べ放題……! これなら明日の朝食代も浮くわね!)
 
 レオンさんが以前私を雇ってくれたおかげで、そんなにケチらなくても、普通に生活する事はできるけれど、この世界で女一人で独立して生きていくことを考えると、やっぱり節約しておかないといけない。
 この先どうなるか、わからないし。
 私は目立たないように仮面の位置を直しつつも、ここぞとばかりローストビーフをお皿に盛って、無心で頬張っていた。
 すると、ふわりと隣に気配がした。

「美味しそうに食べるね」

「へ?」

 声をかけてきたのは、狼を模した銀色の仮面をつけた長身の青年だった。
 ジュリアンさんのようなキラキラした美男子でも、レオンさんのような冷酷な死神オーラでもない。
 どこかレオンさんに雰囲気が似ている気もするが、もっと穏やかで、親戚の優しいお兄ちゃんといった朴訥とした空気を纏っている。

「ごめんね、驚かせて。僕も、こういう華やかな場は少し苦手でさ。つい壁際に逃げてきてしまったんだ」

 青年はそう言って、優しく微笑んだ。
 仮面でもちろん顔は見えないけれど、雰囲気的にたぶんイケメンなのに全然気取っていなくて、なんだかとても話しやすい。

「あ、私本当はゲストじゃないんです。主が、離席しておりまして。一応、護衛なんですけれど、ルールで仮面被らなくちゃいけないみたいで」

「護衛のお仕事かい? 君みたいな可愛らしいお嬢さんが一人でいるなんて、随分と放任主義な雇い主だね」

「あはは、経費削減がモットーの方なので。でも、私も『会いたい人』がいたので、丁度良かったんです。自由に動けますし」

「へえ、会いたい人。……それは、この夜会に参加しているの?」

 親身になって聞いてくれる青年に、私は曖昧に頷いた。

「この夜会に参加しているかはわかりません……でも、こういった場所にはお仕事で?顔を出したりするかもしれないので……」

「とすると、王都の貴族なのかな」

「えっとー」