元不良お嬢様〜小さな苺姫の物語〜

 ねずっちはボクシング部で休日も練習があり、
 今日も部活があるので日曜日じゃないと誘えない。

 私もボクシングが好きだから入部したかったけれど、
 手芸や調理の方がもっと好きだし、
 兼部もしていない。
 それに、ボクシングなんていつだってできる。
 ねずっちは近いうちにボクシングの県大会に出るそうだが、
 私としては世界大会に出てもいいレベルな気がする。
 やっぱり難しいのかな。

「ねずっちは日曜日じゃないと来られないよ。
おばあちゃんってば、
忘れん坊なんだから」

 おばあちゃんは最近、
 物忘れをすることが増えた。
 昔はそこまでじゃなかったんだけどな。

「そうかしら?  
年のせいかしらねぇ」
「おばあちゃん、
このままいくと認知症まっしぐらだよ」

 おばあちゃんとたわいない会話をしながら、
 いちごパイを食べる。
 おいしい。
 いちごのホイップクリームを乗せると、
 さらにおいしさが増した。

 今日は休日だ。
 何をして過ごそうか悩んでいた。
 幼馴染はほかにもいて、
 猿川君、
 猪塚君、
 たまちゃん、
 宇佐木君、
 犬山君、
 鳥飛君、
 いちご先輩、
 それに牛縞君のお兄さんにあたる牛縞先輩や、
 牛縞君の従兄の牛縞さんまでいる。
 友達が多すぎて、
 誰のところへ遊びに行けばいいのかわからない。

 不良に喧嘩を売ることもできるけれど、
 それもいい加減飽きてきた。
 そこで、
 いちご先輩と「どこのイチゴがおいしいか」を巡る“いちご巡り”をしようと思い立ち、
 いちごパイを食べ終わったらそのままいちご先輩の家へ行くことにした。

 大騒ぎになると困るので、
 妖精のチェローテはいちごのポシェットに押し込む。

「だから、強引に入れるのはやめろって!」
「いちご巡り、してみたくない?」
「だから、質問の答えになってないって!」

 そんなやり取りをしながら歩き、
 いちご先輩の家の前に着いてインターホンを鳴らした。
 ほどなくしていちご先輩が出てきた。

「毎ちゃん、久しぶり」

 いちご先輩は私の頭をポンポンとなでた。

「ちっちゃくてかわいいね」
「私の身長はいちご級ですから! それよりいちご先輩、一緒にいちご巡りしませんか?」