元不良お嬢様〜小さな苺姫の物語〜

 おばあちゃんがいちごパイを焼いてくれていた。
 私はおばあちゃんの手作りならなんでも好きだけど、特にいちごパイは絶品だった。

 小学生のころは牛嶋君と多摩湖ちゃんを家に呼んで、
 おばあちゃんのいちごパイを一緒に食べていた。
 最初はおいしそうに食べていた牛嶋君だが、
 小学六年生のころに「おいしくねえ」とか「イチゴ嫌いなんだよ」と言い出し、
 喧嘩になったのをよく覚えている。

 多摩湖ちゃんも「おいしい」と言って食べてくれていたけれど、
 小学六年生のときに給食で蕁麻疹が出て救急車で運ばれ、
 病院の検査でイチゴアレルギーだと分かった。
 それ以来、
 私も無理に勧めることはできずにいる。

「おばあちゃん、いちごパイを焼くなら、
ねずっちも呼びたいよ」

 ねずっちというのは、
 私の幼馴染の一人だ。
 多摩湖ちゃんや牛嶋君とは別のグループだけど、
 私は昔から友達が多かった。

「あらあら、呼んでおいでな」

「無理だよ」