約束は、千年の時を超えて

激しい流れを見つめながら、
私とかるは並んで立っていた。

「怖いか?」

かるに尋ねる。

すると、かるは私を見つめて、

「兄上様と一緒なら怖くない」

そう言って、穏やかに笑った。

「そうか」

笑っているかるの頬を、そっと撫でる。

「来世では必ず、共に生きよう」

「はい」

そう言って私たちは、手を握った。

激しい流れへと、身を投げようとした瞬間だった。

背後から馬の足音が聞こえてきた。

振り返ると、剣を持った男が馬に乗り、
こちらへと向かってくる。

「兄上様!」

その瞬間だった。

かるが私を強く突き飛ばす。

「かる!」

振り返る間もなく、男の剣がかるを貫いた。

「……兄上様」

かるは苦しそうに微笑む。

「どうして……!」

震える手でかるを抱き起こす。

「私は、兄上様に生きていてほしいのです」

「お前を置いてなど、生きられるものか!」

「生きてください」

かるは小さく首を振る。

「どうか……私の分まで」

その言葉を最後に、かるの瞳は静かに閉じられた。

その瞬間、視界が大きく揺らいだ。

風が渦を巻き、山も川も、
空までもが白い光に包まれていく。

気づけば、
腕の中にいたはずのかるの姿は消えていた。

血の跡さえ残っていない。

立ち尽くす私の前には、
見たこともない景色だけが広がっていた。

――それは、幾度となく夢で見た、
見知らぬ世界だった。