「なるほどね」
文乃から事情を聞いた太陽は考えるように顎に手を当てながら頷く。
「奏多っちのコンサートに行く服を揃えたいんだ?」
いつの間に愛称で呼び合う仲になったのか。
奏多っち。
……ちょっと羨ましい。
ああっ、それより気にしなくてはいけないのは服のことだった。
何故か互いにカーペットの上に正座したまま会話を続ける。
「はい……恥ずかしながらファッションという言葉は理解しているのですが、実用的な方は壊滅しておりまして……太陽先輩に助けていただければと……」
「いいよ?」
肯定的な返事にぱぁと顔を明るくすると「代わりに」と交換条件が付け加えられる。
「俺のことも奏多っちみたいに太陽って呼んで?」
あ、う、とたじろぎながらも。
キラキラと期待を込めた瞳に見つめられると小さい声でその名前を呼んでみる。
「た、太陽……くん」
「くんは なし でね?」
先輩を呼び捨てに?!
恐れ多くて冷や汗が出そうになるがそれが先輩の願いというのなら叶えなければ。
コンサートの服装もこの交換条件にかかっている。
「た、太陽……?」
言ってしまった。
文乃の呼び声に太陽は笑顔を輝かせていた。
ああ……一回言うたびに自分のHP(体力)が30くらい削られていく気がする。
先輩を呼び捨てで呼ぶなんて、せめて敬称だけでもつけさせていただきたいが、とても満足そうに微笑んでいるのでこれ以上何も言えない。
太陽の全開コミュ力パワーに押され先輩を呼び捨てにすることを余儀なくされた文乃だった。



