ルーチェに恋をして

一人でかけて帰ってきた日以来、紡はどこか吹っ切れた様子でずっと笑っていた。

その姿が気持ち悪いと奏多は顔を(しか)めていたけれど。
文乃は気分良さそうな紡の様子に口元が自然と上がり、幸せな気持ちに満たされる。

 お兄さんと仲直りできたのかな。

直接聞くのは今じゃないような気もして、見守り続ける。
でも、いいことがあったのには違いないと心のどこかで確信していた。

 *

「い、い……一発合格できたぁぁぁ!」
「ボクも!初めてだよ!」
「二人ともおめでとう!」

太陽は文乃と蓮の合格を心から喜ぶ。

中間考査、みんなの助けで文乃と蓮は赤点回避。
無事、通過することができた。
これで奏多のコンサートにも行ける。

「よかったな」

そう言いながら文乃の頭を撫で回す奏多の手つきは確実に慣れていない。
撫でる力が強すぎて、文乃の髪は鳥の巣になった。

「文乃?!髪の毛が……」

談話室のソファーに座っていた紡が鳥の巣となった髪型に気づいてほぐしてくれるが元通りにはならず、少し髪が跳ねたまま。

「奏多!撫でるときは優しくしろよ。文乃は女の子なんだぞ」
「あ!?んなこと俺が一番わかってるわ!」
 紡の言葉に言い返しながらも悪いと思ってはいるのか奏多は横目で申し訳なさそうに文乃を見ていた。
 
「ふふふ、大丈夫だよ」と微笑みながら、
 こんな毎日がずっと続けばいいと文乃は心の底から願った。