ルーチェに恋をして



起こされて目を開けるとそこは紡の部屋だった。
ぼんやりとした記憶を辿ると紡に抱きつかれ寝てしまったのだと気づく。

「あ……ごめんね。起こそうと思ったんだけどつむくん私のこと抱き——」
「わかってる!僕が悪かったから!その話は勘弁してくれ!」

紡の焦り具合に首を傾げ、どうしたんだろう?と心の中で思うがこれ以上は言わないでほしいと言うことなのでベッドでの話は自分の中にしまい込んだ。
紡の顔は頭から湯気が出そうなほど真っ赤に染まっていて。
でもこれ以上つっこむのも紡が嫌がるような気がして文乃は何も言わず過ごした。

互いに仕事を片付け、二人で紡の部屋を出る。
大階段に向かって歩き出すと奏多が部屋から出てきた。

「あ」
「奏多!」

久しぶりに見る奏多に少し興奮して話しかける。
といっても数日ぶりなだけなのだが。
最近は太陽先輩や蓮くんと過ごすことが多かったのでなかなか奏多に会えていなかった。

「なんか久しぶりだな」
 
奏多も自分と同じことを思ってくれたことが嬉しくて顔が緩んでしまう。
急に奏多に目を逸らされたことだけは謎だったけど、食堂に誘うと「行く」と承諾してくれたので三人でまた歩き出す。

「あれ!文乃ちゃんいたー!」
「あ、太陽待って!」

太陽先輩と蓮くんに気づいたのは階段を降りてる途中。
声が聞こえ、後ろを振り返ると文乃を見つけ嬉しそうな顔の太陽がすぐ目の前にいた。

すぐ目の前にいるとは予想していなかったから、不意に足を一歩下げてしまったのだ。
振り返っていた文乃の片足は地面を失い、体はバランスを崩す。

「文乃!」
「危ない!」
「ふみちゃん?!」

奏多と紡、蓮の声が寮内に響き渡る。

あ、これは落ちるなぁ

と変に冷静になって思っていた時。


誰かが自分の体を強く抱きしめ、同時に唇にやわらかいものが触れた。

視界いっぱいに広がるオレンジ色の髪。
目の前には髪色と同じ綺麗なオレンジの瞳が文乃を捉えている。
二人の唇は重なり合い、互いの熱を伝え合う。

「……」

ファーストキス、してしまいました。