ルーチェに恋をして



食事を終えた文乃は紡と別れ、自室に戻ろうと階段を上がっていた。
はぁーと深くため息をついて下を向いていた顔を二階へと向ける。
目の前に、ずっと探していた人物が階段を降りてきているのが見えてドキッと胸が跳ねる。

「か、奏多!」

突然の遭遇になんて言ったらいいか戸惑う。

でも、

 
気づいていないかのように。

奏多は文乃を無視してすれ違う。



——なん、で?



さっき、呼んだのに。



足を動かすのが怖くなった。


前に進むのが怖くなった。


だけど、


——『頑張れ、私』


文乃は体に力を入れて思いっきり手を伸ばす。
奏多が階段を降りて床に足をつけるすんでのところで、文乃の指が彼の制服の裾を強く掴み、止めた。

「奏多!!!!」