ルーチェに恋をして

部屋を飛び出して奏多の部屋にノックを繰り返すが、彼は留守だった。
思い立って行動したからといってすぐにどうにかなる展開なんて、漫画じゃあるまいしありえないのだ。

 それでも、信じると決めたから。
 文乃は奏多を探し続け今日で三日目。

「……うぅ、なんでこんなに会えないの?」

食堂で半泣きになりながら食事を口へ運ぶ。
向かいに座る紡は気まずそうに愛想笑いを浮かべながら言葉を選んでいるようだった。

「まぁ……あいつも忙しいからね。まだ夏休みも明けたばっかりだし……やることもきっとあるんだよ」
「でも……食堂でも談話室でもあの日以来見てないよぉ……部屋に行ってもいないみたいだし……」
「まぁ……」

このまま気まずい空気の状態で奏多と会えず終わってしまったらどうしよう。
焦る気持ちから顔がわかりやすく曇ってしまう。
食欲もあまりなくてこの三日間はいつもの半分くらいしか食べられなかった。

「うう……」

今日こそは奏多に会えるといいな……。
 
文乃の浮かない顔を紡は心配そうに見つめていた。