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夏休みが終わると文乃の日常は少しずつ戻り、実家に帰っていた奏多と蓮も帰ってきて、ステラ寮だけでなく神沢学園全体が夏休み明けの生徒たちで騒がしさを取り戻した。
あれから文乃は談話室がお気に入りになり、夏休み中は談話室で執筆。
奏多たちが帰ってきてからは自室で執筆しているがそれ以外の作業は談話室で過ごすことが多かった。
「コンサート?」
友人からの誘いに、文乃はキョトンと聞き返す。
「あぁ、十一月なんだけどよ。来ないか?」
奏多は談話室の本棚を物色しながら、文乃に誘いの詳細を伝える。
奏多のコンサート。
天才ピアニスト・相馬奏多のコンサートチケットは毎回即完売だった。
そんな人気を誇る彼の公演は常に満員で行けることは奇跡に近い。
奏多はその公演チケットを文乃と紡に用意すると言ってくれているのだ。
「え、でも、もう完売してるんだよね?」
「なんとかする。……まぁ、誘うのもいいんじゃないかって思っただけだ。……友達だから」
奏多の顔は本棚に向いていて見えない。
最後の方の声はかなり小さくて僅かにしか聞こえなかったけれど、奏多が友達だからと言ってくれたことが嬉しかった。
紡はティーカップを口に当てながら「十一月ならまだ予定も調整できるし、いいよ」と口元を軽く上げて微笑んでいる。
文乃も嬉しさが隠しきれず、口元がゆるむ。
「えへへ」
「……なんだよ、気持ち悪いな。」
「友達のコンサートなんて嬉しくて、ありがとう」
「……おう」
奏多は読む本を手に持ったまま、勢いよく二人掛けソファーに座る。
クッションの揺れが隣の文乃にまで伝わってきた。
奏多は本棚から取り出した本を開き、顔を隠しているが、横から見える耳はほんのり赤い。
十一月まであと二ヶ月ちょっと。
今書いている新作も筆が乗ってきているし、問題なくいくことができるといいな。
そのためにも。
文乃は覚悟を決めたように両手に拳をつくって気合いを入れた。
「私も執筆頑張らなくちゃ!」
気合いの掛け声を自分に入れて作業を再開。
奏多はそんな文乃の姿を見つめながらソファーの肘掛けに頬杖をついていた。
「……なぁ」
隣で本読んでいた奏多はこちらをじっと見つめて離さない。
無表情なのか真剣なのか分かりづらい表情に文乃は軽く首を傾げるが、奏多は気にせず言った。
「文乃の作家名って何?」
唐突だった。
夏休みが終わると文乃の日常は少しずつ戻り、実家に帰っていた奏多と蓮も帰ってきて、ステラ寮だけでなく神沢学園全体が夏休み明けの生徒たちで騒がしさを取り戻した。
あれから文乃は談話室がお気に入りになり、夏休み中は談話室で執筆。
奏多たちが帰ってきてからは自室で執筆しているがそれ以外の作業は談話室で過ごすことが多かった。
「コンサート?」
友人からの誘いに、文乃はキョトンと聞き返す。
「あぁ、十一月なんだけどよ。来ないか?」
奏多は談話室の本棚を物色しながら、文乃に誘いの詳細を伝える。
奏多のコンサート。
天才ピアニスト・相馬奏多のコンサートチケットは毎回即完売だった。
そんな人気を誇る彼の公演は常に満員で行けることは奇跡に近い。
奏多はその公演チケットを文乃と紡に用意すると言ってくれているのだ。
「え、でも、もう完売してるんだよね?」
「なんとかする。……まぁ、誘うのもいいんじゃないかって思っただけだ。……友達だから」
奏多の顔は本棚に向いていて見えない。
最後の方の声はかなり小さくて僅かにしか聞こえなかったけれど、奏多が友達だからと言ってくれたことが嬉しかった。
紡はティーカップを口に当てながら「十一月ならまだ予定も調整できるし、いいよ」と口元を軽く上げて微笑んでいる。
文乃も嬉しさが隠しきれず、口元がゆるむ。
「えへへ」
「……なんだよ、気持ち悪いな。」
「友達のコンサートなんて嬉しくて、ありがとう」
「……おう」
奏多は読む本を手に持ったまま、勢いよく二人掛けソファーに座る。
クッションの揺れが隣の文乃にまで伝わってきた。
奏多は本棚から取り出した本を開き、顔を隠しているが、横から見える耳はほんのり赤い。
十一月まであと二ヶ月ちょっと。
今書いている新作も筆が乗ってきているし、問題なくいくことができるといいな。
そのためにも。
文乃は覚悟を決めたように両手に拳をつくって気合いを入れた。
「私も執筆頑張らなくちゃ!」
気合いの掛け声を自分に入れて作業を再開。
奏多はそんな文乃の姿を見つめながらソファーの肘掛けに頬杖をついていた。
「……なぁ」
隣で本読んでいた奏多はこちらをじっと見つめて離さない。
無表情なのか真剣なのか分かりづらい表情に文乃は軽く首を傾げるが、奏多は気にせず言った。
「文乃の作家名って何?」
唐突だった。



