ルーチェに恋をして

「ルーチェ?」 
「あ……いや、その……お礼を言われるなんて……変だよ」

 誤魔化されたように感じたが、文乃は気にせず話を続ける。

「うん。でも、人を信じるってすごく勇気のいることだから……」
「……ふみちゃんといると、落ち着くよ」

 ——信じてよかった。

蓮がそう言っているような気がした。



全身にマーカーをつけ終えると不思議な人間が出来上がる。
何も知らずに見たら完全に不審者。
奇妙な姿のまま、蓮は部屋の一角に設置された多数のカメラの中心に入っていく。

「うん……大丈夫だね。ふみちゃんありがとう、本当に助かったよ」
蓮は穏やかに微笑む。
そういえば、聞いてもいいんだろうか?

「あの……言いたくなかったら言わなくていいんだけど……」
「うん?」

結局、好奇心に負けて思い切る。

「蓮くんは……なんの才能でステラに……」
「あ……えっと」
 答えづらそうな蓮。

やっぱり聞いてはいけなかった……どうしよう。

「あ……ごめん、聞いたらいけないのに!言わなくて大丈夫——」
「ち、ちがうんだ!」

蓮はあわあわと手を泳がせながら文乃を止める。
一生懸命、何か考えているのか彼は表情をコロコロと変えた。
 
「その……なんて言ったら伝わるのかなって……色々やってて……」

色々……、一つだけじゃなくて何個も持ってるってことなのかな。
それはすごい。
文乃は目を輝かせた。