これはもう学校ではなく、小さな街なのではないだろうか?
敷地内を村田に連れられ、進むとまた校門が現れる。
どうやらこの学園は広大な敷地の中に何個もの学校が存在しているようだった。
しかも学校と学校の間には商店街のような店まで並んでいる。
その学科に特化した商品を置いているのだろうか?
何にせよ規模がかなりでかい。
「はい、ここからバスで行くのよ」
「え、バス!?」
「そう。こんな大きな敷地を歩いて行くなんて無理よ?」
「えぇ……電車に揺られ、人間というデンジャラスなものに囲まれ怯えながらきたのに、またここからバスでなんて……毎日そんなのは無理ですぅぅ」
「何言ってるの?」
村田はキョトンとした顔で衝撃の事実を文乃に告げる。
「文乃、学校の寮に住むのよ?」
「…………はい?」
寝耳に水。
なんていいました?
「え、いや、私、実家から……荷物だって今持ってきてないですし」
「ご両親が今日引っ越しセンターに頼んで寮に運んだわよ」
「まだ15歳の娘を家から追い出す気ですか!?」
「可愛い子には旅をさせよというじゃない。小説のネタ探し以外で一切家を出ようとしない娘を心配して寮に入れるんだから感謝しなさい。」
「ただ毎日の世話が面倒くさいからな気がしますぅ……」
母はいつも言っていた。
経済的に自立はしていても、私生活が壊滅的すぎるからどうにかしろと。
親はいつか死ぬからと散々脅されていた。
「文乃が大切だから、心配だからこその判断よ。受け入れなさい。」
「うぅ…………」
わかっている。
本当はわかっていた。
ただ受け入れたくなくて駄々をこねていただけ。
「……はぃ。」
両親の決心を無駄にするわけにはいかない。
文乃はこの学園で三年間頑張ることに決めた。



