ルーチェに恋をして

「京極さんだよね?僕のこと覚えてるかな?一ヶ月前に会ったんだけど」
「つ、紡くん……ですよね?」
「そう。小日向紡(こひなた つむぐ)。よろしくね」

柔らかい笑顔に優しい空気。
いい人だと思った。
話しやすくて少し、落ち着く。

「京極文乃です。……よろしくお願いします。」
あの日、緊張して言えなかった挨拶を一ヶ月越しにした。
紡はその挨拶に微笑みで返す。

「食堂に行くところ?僕も食事を取りに行こうと思って。よかったら一緒にどうかな?」

神様のような誘いに文乃は瞳を潤ませた。
 
「い、いいんですか……!」

感極まる文乃は予想外だったのか、紡は驚いたように目を丸く瞬きを繰り返すが、すぐに柔らかく笑った。
 
「あはは!このくらいでそんな感動されるなんて。京極さんって面白いね?もちろんだよ。」

あぁ、神よ。

『才あるものは徳にあらず。』なんてとんでもない。
この小日向紡様は才も徳も兼ね備えていらっしゃいます。

文乃は紡に心の中で拝み続けた。