ルーチェに恋をして

高校に入学して一ヶ月。
文乃はステラ寮の部屋から出ることなく、快適に引きこもり小説家生活を送っていた。


「え、快適すぎません……?」

誰もいない自室でパソコンに向き合いながら一人呟く。

想像していたのと全く違う。
もっと人と話したり自分でやったりしないといけないと思っていた。
 
実際はお風呂とかも部屋で完結するし、食事も安西が持ってきてくれているので、実家以上に快適自堕落(じだらく)ライフを過ごせてしまっている。
強いて自分が人間としてまともにやっているのは小説を書くことくらいで……。
一五歳の時点でこれでは、もう大人になった時には後戻りできなくなってしまう。
仕事ができても私生活がままならなければ生活崩壊まっしぐら。
 
「才能特化クラスじゃなくてダメ人間製造クラスなのでは……」

文乃にとっては嬉しい環境ではあるが、先を思うとこれでいいのかという気持ちもあった。
絶対、両親と担当の村田さんにとって想定外の生活を私は送っている。

「でも……入れたのもあの人たちだし……」
 
都合よく解釈しようとするが、文乃の良心が胸に針を刺してくる。
 
「うぐ……」
 
心の中で天使と悪魔の私がつっつき合う。
あ、明日から、明日から少し外に……。
そんな文乃の考えを察するように、いつも安西に連絡するタブレットが聞いたことのない通知音を鳴らす。
 
「……?」

そこには衝撃の内容が書かれていた。

 
 ——[ステラ寮 執事制度廃止のお知らせ]

 
「はぃ!?!?」