ルーチェに恋をして

愛と話を終えて、四人の元へと戻る。

「……すっきりしたか?」
 
奏多の質問に文乃は無邪気に笑う。

「うん、それなりに!」
「それなりにかぁ!」
「それなりにでも、良かったじゃん」

太陽と紡は茶化しながらも温かく文乃を見つめる。

「ふみちゃん、良かったね」

蓮は文乃の和らいだ雰囲気に心から安心した。


「愛ちゃん付き合ってる人がいるんだって……私も恋してみたいなぁ」
 その言葉に四人は「は!?」「え!」と騒ぎ始めた。

「じゃあ俺と付き合う?」
「はぁ?!ふざけんな!」

追いかけてくる奏多から逃げるように、太陽は庭園へ走り出す。
 
太陽が「文乃ちゃん、逃げろー!」と文乃の手を握ると、奏多の表情がより一層怖くなって本気のスピードに上がり、その顔は獲物を狙う猛獣と化す。
 
あまりの怖さに「奏多!?怖いよ!!」と文乃は叫ぶが、太陽はそれすら面白いと「あはははは!」と笑い楽しんでいた。
そんな三人を呆れながら、保護者のように見守る紡と蓮は目を見合わせて微笑む。

追いかけっこをやめて、寮へ戻る途中。
文乃はずっと気になっていた質問を奏多に聞いた。


「ねぇ奏多。なんで私が橘冬樹って知ってたの?」


奏多に自分のことを明かした時、彼は「知ってた」と言った。
バレないように最新の注意をしてたはず、一体どこで?

「あー。……最初に会った時のお前のメモ」

奏多のピアノから生まれた、物語のメモ。
そのまま置いて逃げた文乃に奏多は後日届けてくれた。

「部屋に持って帰って見た時。メモの文章が……橘冬樹だと思ったんだ。」

風が、奏多の髪をふわりと揺らす。

「他にも理由はあるけど、そうだったらいいなって……思ってた!」

その笑顔は無邪気で。
純粋で。

 
文乃まで、笑顔になった。