『隠れモテ美少女と俺様王子の365日同居生活。〜学校一の俺様王子は、裏でモテすぎてるらしい私を絶対に離さない〜』

小鳥のさえずりと、カーテンの隙間から差し込む眩しい朝日で目が覚めた。

(……あれ? 私、なんでこんなに体が重いんだろう……)

ぼんやりとした頭で起き上がろうとしたけれど、びくともしない。

視界に飛び込んできたのは、私の腰をがっちりと抱え込み、自分の長い足を絡めたまま眠っている零くんの顔だった。

「っ……!!」

一瞬で昨夜の記憶が蘇り、心臓が跳ね上がる。

シャツのボタンがはだけた零くんの胸元に、私は一晩中、制服のまま抱き枕として閉じ込められていたのだ。

彼の額にそっと触れてみると、熱はすっかり下がって平熱に戻っている。

「……ん、」

零くんの長い睫毛がピクリと揺れ、ゆっくりと目が開いた。

至近距離で視線が交差する。

昨夜のあのトロンとした虚ろさは、綺麗さっぱり消え失せていた。

いつも以上に冷たく、冷徹に澄み切った雲の上の『クール王子』の瞳。

零くんは私を見るなり、不快そうに思いっきり眉をひそめた。

「……おい。なんでお前が俺のベッドにいんの?」

「え……っ?」

昨夜のあの熱い抱擁が嘘みたいに、零くんは私の体を乱暴に突き放し、ベッドの上に起き上がった。

「……風邪で寝込んでる男の部屋に勝手に入ってくるとか、マジで何考えてるわけ?」

「な、何って……っ。零くんが、昨夜すごい熱で、汗を拭いてあげたら急に引っ張られて……っ」

「は? 俺がそんなことするわけねぇだろ。変な妄想してんじゃねぇよ」

冷たく言い放ち、零くんははだけたシャツのボタンをパチパチと留め直していく。

その顔には照れも、焦りも、1ミリの赤らみもない。

ただただ、他人に興味のない、いつもの冷酷な俺様に戻っていた。

(嘘……。昨日の、あの切なそうな告白も……『俺の隣にいろ』って言ったのも……全部、熱のせいで、記憶にないの……?)

胸の奥がキュウッと張り裂けそうに痛んで、私は涙をこらえるように唇を噛み締めた。

「……ごめんなさい。もう部屋、出るね」

逃げるように立ち上がった私の背中に、零くんの低くて冷徹な絶対命令が投げかけられる。