『隠れモテ美少女と俺様王子の365日同居生活。〜学校一の俺様王子は、裏でモテすぎてるらしい私を絶対に離さない〜』

零くんはふっと私の手首の力を緩めると、そのまま私の胸元にコテン、と力なく頭を預けてきた。

「……零、くん……?」

「……あ、……つ、い……」

完全にのぼせが限界を迎えたのか、零くんはトロンとした瞳のまま、私のパジャマの袖をぎゅっと弱々しく掴んだ。

そして、甘えるように私の顔をじっと見上げて、掠れた声で呟やいた。

「……結愛、これ、……かわかして、……?」

首に巻いたタオルを指差しながら、不意打ちで見せてきた、子犬のような無防備なデレ。

さっきまで容赦なく私を支配していたオオカミ男が、今は私の胸の中でぽーっと熱を出している。

(昼間はあんなに意地悪で俺様なのに……こんなの、反則だよ……!)

「……うん、いいよ。ちょっと待っててね」

私は壊れそうな心臓を必死に抑えながらベッドから下りて、自分のカバンからドライヤーを取り出した。

コンセントにプラグを差し込み、ベッドのフチに座る零くんの後ろに回る。

ブォォォン、と部屋にドライヤーの音が響き渡った。

零くんの濡れた黒髪に、そっと指先を差し入れる。

いつもはカチッとセットされている彼の髪は、驚くほど柔らかくて、

指を動かすたびにふわっと甘いシャンプーの香りが鼻腔をくすぐった。

「零くん、熱くない……?」

「……ん、……きもち、いい……」

零くんはトロンとした瞳を閉じて、私の動きに身を委ねている。

のぼせて頭がまわらないせいか、いつもみたいに意地悪な言葉を返してくる気配は一切ない。