エリート同期は私の初恋でした

営業部のみんなで会社を出る。

春の夕方はまだ少し明るく、心地よい風が頬をなでた。

「店まで歩いて五分くらいだからな。置いていくぞー。」

部長の一声に、営業さんたちが笑いながら後に続く。

「部長、それ毎回言ってますよね。」

「遅れたやつは現地集合だ!」

「結局待ってくれるじゃないですか。」

そんな何気ないやり取りに、営業部らしい和やかな空気が流れる。

私は一ノ瀬と並んで歩いていた。

「今日は珍しく定時で終われたな。」

「ほんと。最近は忙しかったからね。」

「歓迎会の日くらいは早く帰らせてくれないとな。」

「確かに。」

他愛もない話をしながら歩いていると、前の方から笑い声が聞こえてくる。

高橋主任が佐竹に何か話しかけ、それに佐竹が笑顔で答えていた。

初日とは思えないくらい自然に会話をしている。

(もう馴染んでるんだ。)

「さすがエリートだよな。」

隣を歩く一ノ瀬が、小さくつぶやいた。

「そう?」

「主任とも普通に話してるし、営業さんたちともすぐ打ち解けてる。」

「確かにそうかも。」

私も思わず頷く。

すると、一ノ瀬が少し笑って言った。

「まぁ、営業なんて話せてなんぼだからな。」

「それもそうだね。」

そんな話をしているうちに、目的の居酒屋が見えてきた。

営業部では歓迎会や送別会のたびに利用している、おなじみのお店だ。

「着いたぞー!」

部長が暖簾をくぐり、営業部のみんなもその後に続いた。