「何の話?」
聞き慣れた声に振り向くと、一ノ瀬がジョッキを片手に立っていた。
「バスケの話。」
「えっ、櫻井もバスケ好きだったの?」
「好きだよ。中学まではプレーしてたし、今でもBリーグとか観に行くよ。」
「マジか!初耳なんだけど。」
「聞かれなかったから。」
思わず笑う。
「俺も高校までやってた。」
一ノ瀬が得意げに言う。
「そうなの?」
「ポジションはガード。」
「へぇ、意外。」
「意外って何だよ。」
二人で笑っていると、佐竹が静かに口を開いた。
「俺は大学まで。」
「えっ!?」
思わず一ノ瀬と声が重なる。
「大学までって、結構本格的じゃん。」
「一応。」
「ポジションは?」
「フォワード。」
「すごっ。」
「じゃあ今度、三人で体育館借りてやる?」
一ノ瀬が冗談半分で言う。
「いいね!」
思わず即答すると、
「久しぶりにやりたいかも。」
自然と笑みがこぼれる。
「じゃあ決まりだな。」
「いや、一ノ瀬。人数三人じゃ試合にならないでしょ。」
「そこは営業部のみんな巻き込めばいいじゃん。」
「主任とか?」
「部長も。」
その光景を想像して、三人同時に吹き出した。
