「お前……アホ面だぞ」
「うるっさ!貴公子だって真っ赤のくせに!休みの日に女の子と歩いてたのはなんだ!彼女じゃないのか!」
勢いで聞いてやった。
こういう風に言ってくるから、負けじと言い返したくなる
でも、途端にわけわかんないって顔をされるからこちらも同じ顔になってしまう。
「女?彼女?あの日って……ああ、お前どっかで見てたのか?あれは、なんか俺のファンだとか言って並んできやがっただけだ。……俺は、ずっとお前しか眼中にねぇよ」
「……そんなに、私のこと好きでいたの?」
「うっせ……」
なんて覇気のない『うっせ』。
より赤らめた頬にいたずら心が生まれるも、私たちにかけられた声によって、生まれるだけで終わった。
「椿冴、詩姫さん」
咄嗟にどちらともなく手を離し、鼓さんの方を向けば手を繋いでいた光景を目にしたからか、鼓さんはそれはもうにこやかで。
「仲が良いのは喜ばしいですが、教室の時間、過ぎてますよ」
「げ、マジっ……じゃない。今すぐ始めます!」
私たちは鼓さんに一礼して、足早にいつもの部屋へと向かった。
けれど始まる前に色々ありすぎて、お互いに集中出来ず、挙げ句の果てにはなんとか生けた私の花を──『わ、わるくねぇ……』なんて言う。
きっとここに通い始めて一、二を争う出来だったのに。



