素のまま恋







私が鼓さんの教室に通いはじめて……とはいっても、貴公子とのマンツーマンのレッスン。


皆森旅館の次期女将と華道界の貴公子。

私たちのことを見てこそこそと話されている場面を度々見かけることが増えていた。

なんとなく、予想はついていたけれど……レッスン後に廊下を歩いていた私と貴公子はその内容を耳にした。



「旅館のお嬢さんと椿冴さん、本当お似合いよね」

「もう将来を見据えたお付き合いをされてるのかしら」

「もともと皆森さんと鼓さんは仲良しですもんね。互いの親も認めるわけだわぁ」


それは、勝手に私たちを結びつけるような内容で。

飛躍しすぎていて、否定することも出来ず。

それは貴公子もよほど鈍感でなければ、気付いていると思うけど、内容が内容だけに少々気まずい──


教室の後、少しこのことを相談しようと二人で外に出た。
ベンチに座る貴公子のそばに行き、私は座ることなく尋ねる。


「……ねぇ貴公子」

「あ?」

「なんだか、最近……さ」

「……ああ。言いたいことはわかる。俺も普段から生徒さんたちにこそこそ言われたりしてっからな」


やっぱり。

言わずともわかるほど、耳にしているってことだ。
けど頻繁に耳にするようになれば、慣れて気にせず受け流せるようになるってことかな。
いちいち気にしてたら大変だし。