▼
土曜、いつも通り教室へ向かっていれば、教室の庭の方から貴公子と子供の声がした。
気になって正面玄関ではなく、庭の方に回れば……子供二人と和服のまま遊んでいる貴公子の姿があった。
まだ時間があるから、引き返そうとも思ったけど、気配に気付いたのか貴公子と目があってしまう。
「あ……来てたなら声くらいかけろって」
どこか恥ずかしそうに頭を搔く貴公子のそばに歩み寄る。
「この子供たちも、ばあちゃんの華道教室に通う母親たちの子供だ。この前はイレギュラーだったけど、たまにこうやって遊んでやってるんだよ」
「……へぇ」
この前も思ったけど、意外と子供好きだったりするのかな。
「あん時使った絆創膏、子供のために持ってたやつがたまたま残ってたってだけだからな」
「ああ、ピンクのうさぎ柄のやつね」
「柄を言うな」
絆創膏の話題を出すってことは、まだそのこと気にしてたってこと?
だとしたら、意外とかわいらしい一面やもしれない。
「だれー?」
パタパタと追いかけっこをしていた子供たちが私に気付いて走ってきて、不思議そうに首をかしげる。
この前の男の子たちとは違う子だ。



