根つめすぎておかしくなったとしか思えない。
それとも寝ぼけてる?
「……大丈夫か、貴公子?頭……」
「あたま?大丈夫だけど?」
なわけないだろう。
私の知る貴公子は私を見て、かわいいと笑うような人ではないのだから。
なのにそう思っていても、向けられた言葉に顔が熱くなってきて、貴公子の手から逃れ、今度こそ私は体を横にずらした。
当然、貴公子の頭は……
「いてっ」
地べたにつくわけで。
そのちょっとした痛みに、貴公子は体を起こす。
「……ふぁーあ、めっちゃ久々に熟睡したわ。いい膝枕だったぞ皆森、って何赤くなってんの?」
「い、今のはなんだ……!」
「今の?……なんのことだよ」
「私にかわ、かわっ……」
かわ?と貴公子は首を傾げる。
自分でかわいいと言われたなんて、口に出来ない。
「かわってなんだよ」
「知るかっ」
寝ぼけていたせいで覚えてなさそうだから、これでいい。
聞くのも恥ずかしいから。
「なんだよ、気になるじゃんか」
「いいの!」
教えろ教えろと、私の腕を掴む貴公子。
不意にカシャ──と、どこから聞こえた気がしたけど……。
周りには誰もいなくて、音が出るものは見当たらない。
やっぱり気のせい……かな。
「皆森、教えろ」
「嫌よ」
こちらの、"かわい"発言のことも気のせいだってことにしておこう。



