素のまま恋



「あの……」

「ですが椿冴は、大変悩み苦しんでる様子なんです」

「……プレッシャー、とかですか?」

「確かにそれもないわけではないでしょうが。……詩姫さん」

「は、はい」

「良かったら、椿冴の様子を見に来てはもらえませんか?」

「私が?でもそれなら鼓さんが見た方が……」


私は貴公子からユニークと言われてる上、花のことでは役にはたてない。

けれど鼓さんは首を横に振った。
今しがた笑みを浮かべた顔を真剣なものへと変えて。


「アドバイスをしてほしいわけではないですよ。ただ、あの子のことを見て、二言三言、話してくれたらいいんです。楽しく、ね」


二言三言……?


「進学のためのお勉強はない、ということなら……レッスンに関係なく、お休みの日に詩姫さんがいらしたいタイミングで構いませんので遊びにいらして」

「は、はい」


ぎこちなく頷き返せば、私の肩を叩かいて鼓さんはゆっくりと歩いて行った。

……私が行ったところで、何をすればいいんだろう。








鼓さんには流れで頷いてしまったけど、私は行かない。旅館が忙しいとか何かに理由つけとけば大丈夫でしょう。


そう思っていたのに──