そういえば、貴公子は手に袋を持っていた。
その袋から、ゼリーとスプーンをセットにして貴公子は私の前に置く。
「空きっ腹はよくねぇからな」
「あ、ありがと」
何も食べてないから、というよりこれといって食欲もなかったから、布団にこもったままだった。
けど、せっかく持ってきてくれたんだし……空きっ腹が良くないのは確か。
ありがたく食べることにしよう。
「……食べながらでいんだけどよ、ずっと、ここ最近気になってることがあるんだ。聞いてもいいか」
「断る」
「俺らも調査票出したけど、皆森は三年だろ。今はもう十二月だ。……気持ち、決まったのか?旅館のこと。それとも……どっか、行くのかよ」
ゼリーを食べる手が止まる。
聞いてもいいか、前置きしても結局聞くんだから。
これでは断る意味がない。
「……決まってるけど」
「どうすんだよ」
「旅館で、修行」
「……そうか」
顔を上げたり下げたり、どこか安心したみたいに脱力して。
貴公子は、私の進路を杏奈ほど気にする理由はないというのに。
「その、ギリギリで心変わりとか……お前なら、やっぱ大学とか心境の変化があってもそれなりの学力はあるわけだろ」
杏奈も同じようなことを私に聞いた。
でもその心変わりとやらはない。
本当は、先生に言われたことがある。



