「あーなんか疲れたな」
「そう?私は楽しかったけど」
いつぶりにどろだんごを作った?って子供の頃の記憶をたどりながら懐かしい話をして、ほどよく会話が弾んだ頃、
「明るいから、この辺でもう大丈夫」
「おう。勉強、さんきゅーな」
「前に貴公子が成績は中の上って言ってたのに、勉強でお呼ばれするとは思ってなかったけど。いいこともあったからよしとする」
「やべぇ時はやべぇんだよ。でも、教え方がうまい皆森せんせーのおかげで大丈夫そうです」
「だといいな。それじゃ、またな貴公子」
「ああ、じゃあな」
旅館前だと人の目があるから、旅館から少し離れたところで別れた私たち。
私は貴公子の姿が見えなくなるまで見送った。
その間、私が見ていることを想定して何度か後ろ向きのまま手を振ってきていた貴公子。
最後に角を曲がる時だけはこちらを振り向いて行ったけど。
……久々に、童心にかえって遊んだなぁ。
貴公子もなんだかんだ楽しそうで。
イレギュラーな日になったけど、こういうのも案外悪くないものね。



