素のまま恋



お母さんもだったけど、鼓さんもまたにこにことして去って行った。

それからすぐ、貴公子の後ろをついていくも……


「え、貴公子?なんでそっち?いつもこっちの部屋じゃ?」

「俺の部屋こっち」

「ああ……」


いや!ああ、じゃないよ!?

なんで私が貴公子の部屋に行くの!?

しかもどうして平然と部屋に行こうとするんだ貴公子は!


「ちょ、ちょっと待て待て貴公子!」


がっしりと私服のtシャツを掴めば、顔をしかめる。


「なんだよ」

「い、いつもの部屋でよい、のでは?というか、いつのも部屋にしよう!ね!」

「はぁ?あれは俺のレッスン部屋だ。なんでも部屋じゃねぇぞ」

「そ……れなら、図書館とか!」

「……お前、なに慌ててんの?」


う……。

自分でも慌てふためいてるのは分かる。
でもしごく当然の理由で慌ててるはずだ。

だってそうでしょ?

先輩後輩で勉強教えるのはいいとしても、部屋に二人……だよ?

好き同士なら分かるけど。

どう見ても貴公子は私をそういう目では見ないだろうし。
私だって……あのドキドキは夏の暑さから来てたってだけだから、貴公子のことが気になるとかそういうのではない。

……多分。