当たり前だけど、私は喧嘩とかしたことない。たまからこういう場合、逃げる方が断然いいんだろうなとは思う。
そういうプランで首を突っ込みに来たのだから。
でも、この手のタイプからただ逃げるのはなんだか……癪だ。
名門を狙うならいっそその名門にやられれば、少しはこりるはずでは?なんて思ってしまう。
……これといった勝算はないけど。
不良くんが拳を握った時、私は肩からほどよく重い鞄を下げ、取っ手を両手で強く握りしめスタンバイ。
後は思いっきり振ってあてるだけ。
──これで、ノックアウトさせてやる!
「オラぁ!」
不良くんの拳が目前に迫り、動体視力任せで、すんでのところでかわすと、私は下から上へと鞄を目一杯振り上げた。
「食らえっ!!」
「……ぶっ!?」
私の鞄が片側の頬にクリーンヒットしたと同時に、もう片方からローファーが不良くんの顔にめり込んだ。
──っ!?
ところを見たはいい。
だけど、そのローファーの主の力が強く……すんなりパワー負けし、私と不良くんは同時にバランスを崩した。
「……痛った、うわっ」
私が尻餅をついた瞬間、不良くんが地面に倒れてきて、つい後ずさる。
──びっくりした……。
どうやら気絶してるみたいだけど、これは大丈夫なの?
しかも顔に靴跡くっきりついている……。
「あ、鞄……っ!?」
倒れた不良くんの後ろにある鞄に手を伸ばしかけたところで、この男の子を気絶させたローファーの男の子と目があった。



