素のまま恋








「ありがとうございました」


夏休みに入り、今日も今日とて貴公子とのレッスンを終えた。


「はぁ……あっつい」


外からのセミの鳴き声がたえないから、集中を削がれるも乗り越えた私。


「そうか?お前わりと涼しい顔してやってるからそうでもないと思ってたけど」

「いやいや、表向きの顔よ。本当は今も旅館でも暑い暑い!って思ってる」

「ま、年中着物は辛そうだよな。今日もユニークだったけど、お疲れ」


一言を添えて、貴公子はおしゃれな急須からお茶を注いでくれる。
突っ込むよりも先に涼しさを求め、お茶に手を伸ばした。
冷たいお茶に生き返ると、貴公子が何かを思い出したように『ちょっと待ってろ』と部屋を出て行った。
すぐ戻って来ると、なにやらチケットのような物を手渡される。


「お前も見に来いよ、鼓の花展。街中だけど」

「その……かてん?って何?」

「分かりやすく言うと、展示会だな」


展示会……そういうものもあるんだ。
私の記憶にはないけど、もしかしたら鼓さんのを小さい時に見に行ったりしてるかもしれない。


「花展って言うんだね。ってことは、貴公子の作品も並ぶってこと?」

「当然だろ。鼓の弟子も展示するけど、俺とばあちゃんがメインだからな。お前も華道の勉強するためにも時間があるなら……いや、作って来い」