素のまま恋




「まぁ、そう。さすが皆森旅館のお嬢様ね。終わりしだい、お茶をお出ししてゆっくり話でもしなさいな」

「はい」

「詩姫さん、ゆっくりしていってね」

「ありがとうございます」


私たちが仲良くやっていたと聞いた鼓さんは、満足そうに微笑んで静かに襖を閉めていった。


「な?オブラートだったろ」


やはり嫌味だ。


「ユニークで悪かったな」


ふん、と子供のような拗ね方をすれば、貴公子は私の肩を叩いた。


「ま、気にすんな。俺が華道の成績あげさせてやるから」

「お、言ったな?だったら私もバッチリ頑張ってやろうじゃないのっ」


二人してきっかない笑顔を見せあった。










「失礼しましたー……あ!詩姫ナイスタイミング!」


昼休み、放送で呼ばれ職員室に行っていた杏奈が、私を見つけよたよたと歩み寄ってきた。……何かの資料の山を両手のかごいっぱいに。


「重そうだね」

「うん、課題がまた遅れたからペナルティという名のお手伝いです。そしてそんな私と巡り会った詩姫よ、手伝いを頼む心の友」

こういう時ばっか、調子のいいことを言うんだから。


「私はただお手洗いに来ただけなんだけど……まあいいか。どこに行くの?」

「ありがと!」


片方のかごを受け取り並んで歩き出せば、


「んとね、二年の教室全部!」

「分かっ……え?」